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好きな音楽をぽつりぽつり綴りますよ

宇多田ヒカル「Fantome」に心から浸った今

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こんばんは。宇多田ヒカルの新譜に生活を支配されていた僕です。

起きては再生し、移動中は再生し、寝る前に再生する生活してました。僕だけですか。

ぜひ聴いて欲しい作品ですね!日本人に生まれてよかった〜!

 

 

そもそも宇多田ヒカルが復活して、8年ぶりのアルバムですって。8年って。

その間には「桜流し」、「真夏の通り雨」、「花束を君に」を発表してやっとだよ。なんだこれ。

しかも椎名林檎、小袋成彬、KOHH参加とかいう。。どんな作品だよ。

そしてこんなハードル上がってるのにそれを余裕で超えてくるこの作品なに?

 

 

「人間活動」中に宇多田ヒカルは結婚をして、子供を産んで、お母様を亡くすという出来事を経て生まれたこの作品のタイトルは「幻」とか「気配」という意味があるそうです。今作のコンセプトは「母への作品」、「日本語の唄を歌う」、「気配、幻」とインタビューで語られている。

「生と死」を形にした作品。

 

ちなみに、ここからは僕の思い出も同時に再生される文になっていしまいますが、よかったらお付き合いください。

 

 

 

 

再生して一番最初に歌われる#1 道

黒い波の向こうに朝の気配がする

母の自死を抱えて生きてくこと(実は僕も宇多田ヒカルと同じ境遇で母を亡くした)は僕の感覚では、いくら進んでもそこは光と言えるほど華やかな世界に変わるとは言い切れないような、光と隣り合わせの闇の端で覆われる事はないけれど、触れられる光みたいな。そんな感覚を自分は思いながら生きているような気がします。

道は抜粋したい所が全部です。今作で本当に大切な始まりの曲。

 

#2 俺の彼女では生の部分を感じられるような曲。愛。

#4 二時間だけのバカンスも一瞬の逃避(不倫?)を椎名林檎との掛け合いで形にした作品。

#6 ともだち(with小袋成彬) #8 荒野の狼 #10 人生最高の日

あたりも恋愛に焦点が当たっている作品であり全てが死に直結するような作品でもなく「生」や「愛」に焦点が当たっている。

人生最高の日なんて前後の挟まれてる曲との温度差が凄くて1周目は怖かったよ。狂気の先の開けたような感じで。違うか。

こんな歌聴いてテンションあげなくたって 平常心 崩壊寸前

先行だった#3 花束を君に で

普段からメイクしない君が薄化粧をした朝

始まりと終わりの狭間で 忘れぬ約束した

 なんてのはお別れの前にする化粧なのかなと勝手に解釈もしました。(どこかのレビューで書いてあってその人と握手したいなと思った)

あの狭間でしか素直に僕自身も約束のようなものをできなかった気がします。

この曲を作って彼女は少し自分を許すことができたような感じが伝わってきました。

先行の段階でファンの反応も彼女には良いものだったみたいでよかったなって思います。(感想が幼稚)

 

#5 人魚でも2度、あなたに会えそうな気がしていることを歌い、

#7 真夏の通り雨も先行でしたが、花束を君にとは真逆のような、癒えない自分をそのまま書いたような曲で、

誰かに手を伸ばし あなたに思いを馳せる時 今あなたに聞きたいことがいっぱい 溢れて 溢れて

最後には

ずっと止まない止まない雨に ずっと癒えない癒えない渇き

と、ストレートに本音をエフェクトかけて繰り返して終わる。本当に真逆な曲。

 

#8 忘却(featuring KOHH)では不穏な雰囲気に一定のリズムからKOHHが歌い始める。歌詞がビシバシ鼓動と一緒に体に廻るような感覚。

思い出せないけど 忘れられない

思い返せばそんなことは形なくぼんやりと、みんなある思い出なのかな。

自分もいろいろ思い出す大切な人との思い出は形あるものばかりではなくて、でもその「思い出」が存在してたことは忘れたくない。ような気もするし、見た光景を忘れたいという事もある。大切な人の死の姿が生きてた最後の姿を打ち消してしまうくらい衝撃的だったりする。この曲KOHHの存在が凄くいい。

 

 

#11 桜流しは震災の時に書いた曲なのでお母様が亡くなられる前なのだけれど、この作品を閉めるにはこの曲しかないのかな。収録されないかなあなんて思ったけど収録されましたね。

どんなに怖くたって目を逸らさないよ 

すべての終わりに愛があるなら

 この作品は愛を歌う曲と死を感じさせる曲が半々くらいある中で、アルバムの最後の一節がこれで終わるのは鳥肌が立ちました。何度聞いても。

 

 

感情移入せずにはいられない作品なので感情移入してしまうが、死はある程度時間が解決してくれるまではネガティブな気配でしかない。その間は自分を愛する事なんてもっての他で、愛なんて概念が薄れてしまう。

でも宇多田ヒカルにとってポジティブな「気配」に変わったから生まれた作品が「花束を君に」だろうと思う。気を少しでも変えればネガティブにも勿論なるだろう。

切っても切り離せない気配を道の英詞の所で端的に表してる。

「生と死」に向き合い音にしたこの作品。

「闇と光」という対局的だけれど、隣にあるようなもの。

「始まりと終わり」のような続くもの。

アルバムタイトルを考える時に、宇多田ヒカルが浮かんだ言葉は「輪廻」だそうだ。

気配をポジティブに捉え、きっとそこにあなたがいると歌う「道」

失ったものと事実を嘆き、まだ何も伝えていないと歌う「桜流し

対局の位置にあるこの曲だけれど、隣同士のこの曲があるから尚更また聴いてしまう。

 

自分も気配を感じながら生きて行くことが1つの輪廻であり、自分と母が生きる唯一の方法なのかなと感じた。墓場まで聴くよ。この作品。ありがとう。

感情的な文でしたが読んでくれた人ありがとうございました。

 

 

あ。ドラムの音がすごくいい。というか音がいい。。